“自分のことは自分でやる”を支える支援

コラム

児童発達支援や放課後等デイサービスでは、子どもたちが自分の力で生活できるようになることを目指して支援を行っています。
今回は、私たちが日々のかかわりの中で大切にしている考え方 ― 「自分のことは自分でやる」 というテーマについてご紹介します。


“やらされる”ではなく、“自分でやる”を育てたい

宿題、学校の支度、片付けなど、毎日の生活の中には「自分でやらなければいけないこと」がたくさんあります。
これらは、自分でやらずに誰かにやってもらうこともできます。けれどもしやらなかった場合、最終的に困るのは自分自身です。

たとえば宿題を例にすると、「やらないといけない」と分かっていても、気分が乗らず泣いてしまうこともあります。
そんなとき、大人はつい「なんとかやらせよう」としますよね。声かけの方法を変えてみたり、根気強く説得したり、あるいは気持ちの切り替えを促したり。
そして最終的には、子どもではなく大人が頑張っている状況になってしまう。あるあるだと思います笑

もちろん、そのようなかかわりは大切です。大人の働きかけで、子どもが「できた!」と達成感を味わうことで、自信につながります。

けれど、本当に大切なのは“やらせる”よりも“自分でやることの意味を伝える”ことではないでしょうか。

「宿題をやらないと困るのは自分自身」ということを、子どもが自分の体験として少しずつ理解できるようにサポートしていく。
これが、私たちの考える“自立につながる支援”です。


「困る経験」も、学びのひとつ

もちろん、すべてを子どもに任せて放っておくわけではありません。
気持ちの切り替えをサポートしたり、クールダウンの時間を取ったりしながら、その子やその状況に合った支援をしています。

それでも、ときには「困る経験をあえて見守る」こともあります。
たとえば、学校にドリルや筆箱を忘れてきて宿題ができなかったり、ランドセルの中に雑に入れたプリントが破けていたことに気付いたり。
そのような経験を通して、子どもたちは「次はこうしよう」と考えるようになります。

私たちは、その“困ったあと”の関わりをとても大事にしています。
失敗を注意するのではなく、「困ったね」と共感し、「じゃあ、どうする?」と今の困った状況でどう行動するかを一緒に考えるようにしています。

さらに「どうしたら次はうまくいくかな?」と振り返るきっかけを投げかけることもあります。
その積み重ねが、子どもたちの“自分でやる力”につながっていくのではないでしょうか。


「手を貸す」ことより「手を離す準備」を

「自分のことは自分でやる」というのは、突き放すことではありません。
むしろ、“見守りながら自分でできるようになるまで支える”という、難しい上に根気のいるかかわり方です。

子どもが困ったときにはヒントを出したり、できたときにはしっかり認めたり。
少しずつ自分で考え、動けるようになるプロセスを一緒に歩んでいくことが、大人の役割だと考えています。


おわりに

私たちは、子どもたちが将来、社会の中で自分らしく生活していくために
「自分でできた」という実感を積み重ねていくことを大切にしています。

その一歩として、日常の中で「自分のことは自分でやる」を常に意識できるように支援しています。
これからも、子どもたちの「困った」「できた」「次はこうしよう」を支えていきたいと思います。