子どもとかかわっていると、
「どうして伝わらないんだろう?」
「なんでこんな行動をするの?」と感じる場面は少なくありません。
でも、その「ずれ」の中には、子どもなりの考えや感じ方が隠れていることがあります。
今回は、子どもとのかかわりで意識したい 「伝え方」 と 「見方」 について考えてみましょう。
「ちゃんと座って」は本当に伝わっている?
たとえば、大人がよく口にする「ちゃんと座って」という言葉。
この「ちゃんと」という表現、実はとても曖昧です。
大人の頭の中には、
- 椅子に対してまっすぐ座る
- おしりをしっかり座面に乗せる
- 背中を伸ばす
…といった“理想の座り方”のイメージがあるかもしれません。
しかし、子どもにとっての「ちゃんと座る」はどうでしょうか?
椅子におしりが少し乗っているだけでも、「座っている」と感じている場合もあります。
つまり、同じ「ちゃんと座る」でも、 大人と子どもで理解している内容が違う のです。
そこで大切なのは、 大人のイメージを具体的な言葉で伝える こと。
たとえば次のように伝えてみましょう。
- 「おしりをしっかり椅子に乗せよう」
- 「背中をピンと伸ばそう」
- 「足を床につけよう」
こうすることで、子どもは「どうすればいいか」が明確になります。
「ちゃんと」「かっこよく」「姿勢よく」といったあいまいな言葉の代わりに、
具体的な行動を表現する言葉を意識して使うことが、子どもとのかかわりでは重要になってきます。
行動の裏にある「子どもの心」を読み取る
次に、行動の見方について考えてみましょう。
たとえば全体活動で「今日はみんなでお絵描きしよう」と声をかけたとき、
ある子が「やだ!やりたくない!」と泣いてしまったとします。
このとき、「この子はお絵描きが嫌いなんだな」と決めつけてしまうのは少し危険です。
泣いている行為の背景には、いろいろな理由が隠れているかもしれません。
たとえば――
- 泣きながらも支援者の顔をチラチラ見ている
- 「お絵描きが終わったらおやつだよ」と聞いた途端、落ち着く
このような様子なら、「お絵描きが嫌い」というよりも、
「今は気分が乗らない」「やりたくない」 という側面が強いかもしれません。
もしくは一つの注目行動の可能性もあります。
一方で、
- 体を固まらせて泣き続ける
- 顔を上げず、支援者の声も届いていないような状態
このような場合は、
お絵描きそのものに苦手意識や不安がある可能性もあります。
(過去に嫌な経験をした、クレヨンや紙の感触が苦手など)
同じ「泣く」という行動でも、
背景にある心の動きは子どもによってまったく異なります。
大人がそのサインを丁寧に読み取ることで、子ども寄り添ったかかわり方が見えてくるのではないでしょうか。
まとめ:子どもの「わかってほしい」に寄り添う
子どもの行動や言葉の裏には、
「こうしたかった」「こうしてほしかった」というサインが隠れています。
大人が自分の基準で判断するのではなく、
「この子はどう感じているのかな?」と一歩立ち止まって考える。
それだけで、子どもとの絆がぐっと強まることがあります。
伝え方を具体的に、見方を柔らかく。
そんな意識を大切に、子どもたちとの日々の関わりを積み重ねていきたいですね。
