子どもたちにとって、夏休みの放デイはいつもとは違うことが大きな楽しみだと思います。
日々のイベントやお出かけはもちろんですが、保護者の方が作ってくれるお弁当も子どもたちが楽しみにしていることだと、日々子どもたちと接する中で感じています。
来所するとすぐに「今日は○○のお弁当なんだ!」「デザート入ってるよ!」と嬉しそうに教えてくれる子も多いです。
おうちの人が作ってくれたお弁当を、友達と一緒に食べる時間は、夏休みならではの楽しみの一つなんだなぁと改めて実感しています。
そして、お忙しい中お弁当を準備してくださる保護者のみなさま、ありがとうございます。
私たちは「お弁当の時間」も療育の大切な場面だと考えています。
食事は毎日繰り返す生活の一部です。その中には、姿勢や身体の使い方、人とのかかわり方、食具の扱いなど、子どもたちの成長につながる要素がたくさん詰まっています。
今回は、私たちがお弁当の時間にどんなことを見ているのかをご紹介したいと思います。
① お弁当を食べるときの姿勢、どうですか?
お弁当を食べるとき、椅子や座布団に安定して座れていますか?
テーブルに対して体が斜めになっていたり、背中が丸くなっていたりする姿を見かけることがあります(もちろん、身体機能の面で難しい場合は除きます)。
良い姿勢で食事をすることは、食べやすさにもつながります。
そして、姿勢を保つためには体幹の力が必要です。
そのため、お弁当の時間に姿勢が崩れやすいお子さんには、「前を向いて座ろうね」「背中を伸ばすよ」と声をかけるだけではなく、普段の療育の中で体幹を使う運動や身体を動かす活動を取り入れています。
姿勢は、「意識」だけでも「筋力」だけでも改善するものではありません。
身体を支える力を育てながら、「今の姿勢はどうかな?」と自分でも気付けるように支援していくことを大切にしています。
② 食べるスピード、速すぎ?遅すぎ?
食事にかかる時間を見ていると、
「いただきます」から5分ほどで食べ終わる子もいれば、30分以上かかる子もいます。
もちろん、一人ひとり食べるペースは違います。
早ければ良いわけでもないし、必要以上に時間をかけることもありません。
大切なのは「周りの人と一緒に食事の時間を楽しめること」です。
友達と会話を楽しみながら食べることは、人とのかかわりを深める上でとても良い経験です。
しかし、おしゃべりに夢中になって食事が止まってしまう場合には、「少しおしゃべりを減らそう」と声をかけたり、必要に応じて席を工夫したりすることもあります。
また、時間の見通しを持ちやすいように、「ごちそうさままであと○分だよ」と伝えたり、タイムタイマーなどを使って残り時間を見えるようにすることもあります。
一方で、あまりにも早く食べ終わってしまうお子さんには、
「よく噛んで食べようね」
「急がなくて大丈夫だよ」
と声をかけたり、途中で水分補給を促したり、会話を楽しむ時間を作ったりしながら、ゆっくり食べる経験につなげています。
食事のマナーというと、箸の持ち方や食べ方を思い浮かべる方が多いかもしれません。
でも、「周りの人とペースを合わせながら、楽しく食事をすること」も、将来につながる大切なコミュニケーションの力だと私たちは考えています。
③ 箸は「練習」で身に付く力です
保護者の方から、
「そろそろ箸を使えるようになってほしいんですが…」
というご相談をいただくことがあります。
お子さんに聞いてみると、「まだスプーンが使いやすい」「お箸はたまにしか使わない」と言うことも少なくありません。
箸の扱いは、大きくなれば自然に身につくものではなく、少しずつ経験を積み重ねながら身に付けていくことです。
もちろん、発達のペースや手先の使いやすさには個人差がありますので、「〇歳だからできるはず」と考える必要はありません。
私たちの事業所では、療育の中で、粘土遊びや洗濯ばさみ、ペットボトルのキャップを開け閉めする活動など、握る力や指先を動かす力を育てる課題を取り入れています。
また、「箸」そのものにも目を向けています。
長すぎたり短すぎたり、手の大きさに合っていない箸では、使いにくさを感じることがあります。
お子さんの手の大きさに合った箸を選ぶことも、使いやすさにつながる大切なポイントです。
ご家庭で、毎食きちんとお箸を使わなければいけないということではありません。
「今日は一口だけお箸で食べてみよう」
そんな小さな経験の積み重ねが、「できた!」という自信につながっていきます。
事業所でもご家庭でも、お子さんのペースに合わせながら、一緒に成長を見守っていけたらと思っています。
おわりに
お弁当の時間は、「食事をする時間」であると同時に、「育ちを支える時間」でもあります。
姿勢を整えること、周りの人と一緒に食事を楽しむこと、自分に合った食具を使うこと。
こうした一つひとつの積み重ねが、将来の生活につながる大切な力になっていきます。
私たちは、「お弁当を食べる」という行為だけではなく、その時間の過ごし方にも目を向けながら、一人ひとりのお子さんに合った支援を続けています。
夏休みのお弁当の時間も、子どもたちにとって実りある経験になるよう、これからも丁寧にかかわっていきたいと思います。
